あなたの職場では、これまでに退職代行利用者はいましたか?もしかしたら自分が初めての利用者になるかもしれないという方はドキドキしているかと思いますが、実際に会社側の反応は以下の通りでした。意外と思った方と想像通りだったという方・・・かなり分かれるかもしれません。
ショックだけれど仕事をすっぽかすよりは良かった。
バックレとは、職場に何の連絡もせずに、ある日仕事をすっぽかして突然出勤拒否をしてしまうことを言います。仕事を辞めたいと悩んでいる時に、バックレて辞めてしまおうと思ったことがある方は、多いのではないでしょうか?まだ、バックレせずに頑張って通勤している方々・・・その行動は正解です。まずバックレという行為がもたらす自分自身への影響についてですが、正社員として働いている方であれば、絶対に避けるべきです。会社側からしたら、当たり前のように今日出社すべき存在である社員が、突然何の連絡もせずに会社に来なければ、上司や同僚社員が心配するのは当然です。その日を境に、何日も連絡がない状態が続けば、ご家族の方に連絡が行ったり、何かあったのではないかと自宅へ行ったり、もしかしたら事故や事件に巻き込まれているのではないかと警察に通報されたりして、大事になる可能性もあります。「来ないなら辞めたいってことでしょ。放っておけばいい。」などという流れになることはあり得ません。心配してくれるのはホワイト企業だけでなく、ブラック企業であっても実際にバックレを経験した方によると、何十件も何百件も着信や留守電が入り、「どこにいるんだ!今すぐ出社しろ!!」などと、メッセージが吹き込まれていたようです。もしも、逆の立場で同僚の無断欠勤に直面した場合、恐らく心配して多方面に連絡することでしょう。ご家族に事情を説明していなければ心配をかけてしまいますし、仕事面で考えれば、無断欠勤によって企業に与えた損害を賠償する責任問題が発生するかもしれません。例えば大型の契約が取れそうな案件があり、それをあなたが責任者として対応する予定だった場合、接待や打合わせにあなたが現れなければ、どうなってしまうでしょうか・・・?会社としても、バックレは何としてでも避けてほしいものなので、それをするくらいなら退職代行を利用する方が、双方にとって良いのです。
会社の問題点について考えるきっかけになった。
退職代行を利用する労働者の立場になって考えてみると、少なくとも自分の口から「退職したいです。」と言う事や、退職に伴う交渉を行うことが困難な相手だと思われたことに間違いはありません。サービスを利用されてしまうということは、職場に潜在的な労働問題が眠っているということです。例えば、代行サービスを利用するに至った経緯の中で挙げられる企業の問題点としては、「セクハラやパワハラ・残業代の未払い・有給申請の拒否・劣悪な職場環境」などがあります。自社にこれらの問題点が無いのか、今一度考える必要があります。そして、ほとんどの企業で今挙げた内のどれか、もしくはいくつもが当てはまっているのです。退職代行を使われたことをきっかけに問題点があぶり出され、他の社員たちも「自分も辞めようかな。」「なんだ、退職代行ならすぐ辞められるんだ。」と思われ、退職者が相次ぐ・・・といった事例もあります。また、退職代行の交渉で有給消化や時間外労働についての問題を解決すれば、これまで我慢していた他の社員たちも「自分の有給も認めてほしい。」などと、要求が出てくることもあります。社員たちにとっては、労働者にこのような権利があるのだと示されたきっかけとして良いことですが、企業側は、これまで社員たちの我慢によって仕事が成り立っていたことを思い知ることでしょう。これを機に、社内の労働環境が労働者にとって適切なものとなっているかどうか、再確認する良い機会となったと反省する企業も多いようです。なぜ退職代行を利用されてしまったのか原因を掘り下げ、退職代行を利用されないためにどうするべきなのかという再発防止策を練ることが大切ですね。
引継ぎがなされていないと、次の人に任せるのが大変なので出来るだけ残してほしかった。
労働者に対して、仕事の引継ぎを行う義務はありませんが、あくまでも会社の希望としては、引継ぎを行ってもらえるとすごく助かります。なぜなら、自分が一人で進めていた作業や自分だけが知っている業務がある場合、いきなり退職代行を使って即日退職となった場合、残された人達はやり方が分からず混乱してしまうからです。また、個別に多方面の取引先とアポを取ったり連絡を取り合っていた場合、その事情を知らなければ約束をすっぽかしてしまい、会社の信用を落としかねません。例えば何か役職がついていて部下の管理を行っていたり、重要な業務を担っていた場合、その混乱はさらに大きくなることでしょう。ある会社では、退職代行サービスを使用されたのをきっかけとして、今後の社内のあり方を変えることとなり、なるべく情報を常に共有し、ノウハウを周知徹底させ、誰もが分かるようにマニュアルで管理するようになったそうです。大変な思いをした分教訓にもなったようで、これは非常に良い流れですね。しかしもう一方では、引継ぎ拒否の防止策として、引継ぎが完了するまで退職金を支払わないという方法に変えたところもあります。労働者にとってお金の問題は大切ですから、大きなプレッシャーとなります。残念ながら退職金の支払いに法律上の義務はないため、会社は支払い条件を限定することが可能なのです。完全に引継ぎから逃れられるのは退職代行の利点ですが、この退職金問題については規定が作られてしまうと、後から退職する人にとっては不利な状況を作ってしまう原因にもなるかもしれません。
利用者が増えているので特別な驚きはなかった。
ある日突然、社員ではない第三者から退職の申し入れがある退職代行サービスですが、以前までは、「こんな辞め方なんて許されない!」と思っていた方々も、サービスの利用者数が伸びたことによって、今ではそれほど珍しい退職方法ではなくなってきているので、最初の頃は驚いたりショックを受けたり、また、対応の仕方に戸惑いはあったものの、最近では淡々と退職手続きを進められていると答える方が増えているようです。サービス利用者が増えたことで会社の対応方法についても広まりつつあるので、対応の参考例が増えたことで、初めて経験する会社も❝第三者からの報告であっても、これも本人の意志なのだ❞という認識が出来ているようです。退職代行サービスからの連絡に対して、「本人に変われ!委任状を出せ!」などと言う会社は、もう少数派なのです。そのような態度をとったところで、辞めたいと思っている労働者を止めることは出来ませんし、抗うことで場合によっては労働基準監督署などに行かれ、人事担当者や上司の方が対応に追われることにもなり、会社としての大きなリスクを背負ってしまうことを理解しているようですね。 無理矢理止めても会社に利益をもたらすとは思えないとの意見も多く、本人からであろうが退職代行であろうが、退職の意志は同じものとして扱っているとのことです。まだまだ昔ながらの体質の職場だとこのような意見は少なのですが、「退職代行サービス」という言葉自体を聞いたことが無いというところは少ないので、以前よりも安心して利用できそうですね。
退職者の精神面等が心配になった。
なんとなくのイメージで、退職代行を利用すれば退職者に対して怒りを抱いたり、迷惑だと嘆いたりと・・・周囲のあらゆるマイナスな気持ちの矛先が、全て退職者に向くことを前提に想像してしまうことが多いのですが、実は本気で心配してくれている会社もあるのです。職場に特別な問題がなくとも、労働者本人が仕事のストレスか否か認識していなくとも、精神的な不調に見舞われることはあります。この場合、双方にとって不幸な出来事になってしまいますが、優しい上司や同僚が居ながらも、なぜか明日から仕事に行ける気がしない・・・と、ある日ぷつんと糸が切れたように、退職代行を使って辞める選択をする方々もいらっしゃいます。会社側も原因分からず、本人自身も理由が分からずといった状況ですが、その頃には治療が必要なほどに悪化していたというケースもよく見られますので、残念ながらそのまま退職を受け入れるしかありません。その際、良い会社では「そういえば○○さん最近元気が無かったかもしれない。」、「仕事が嫌だったのかな?もっと話を聞いてあげれば良かった。」、「うつ病なのか・・・心配だな。」と感じたと答えていました。自分の行動を思い返して反省したり、心配してくれたりするようです。もちろん、職場の人間関係が良かったケースや、利用者本人が職場で人徳があったケースの反応ですが、こんな会社もあるという事です。利用者のここ最近の言動を思い返してみると、些細なミスが増えていたり、人とのコミュニケーションが以前よりも少なくなっていたり、遅刻や欠勤が増えていたりと、何かしらのサインがあったことが分かるのですが、その時に対応できなかったことを悔やんでいる方が多かったです。これらは本人からしたら無意識の行動であることも多いので、周囲の人の方が早く気付く場合もありますね。このような会社が相手の場合はトラブルが起きることなく退職が完了するので、業者としても有難いですし、利用者も早く治してまた社会に復帰したいと思えて、治療も上手くいく可能性が高まりますね。
他の社員への影響が気になった。
実際に退職代行利用者の同僚の方々の感想としては、「うちの職場は、退職代行サービスを利用して辞める人が多いので不思議に思わなかった。」、「ロッカーやデスクの荷物がそのままになっていたので、片付けや郵送する担当の方が忙しそうだった。」、「いわゆるブラックなので、利用しても仕方ないと思った。」、「よく怒られていたので、自分が同じ立場だったら使っていたかもしれない。」といった声が寄せられています。利用者の多い職場では珍しくもないので、退職代行サービスを利用することが当たり前のようになっているところもあれば、周囲の人への負担が大きいので自分は利用しないと答えた方、そしてパワハラが横行しているようなところでは、この方法しかないと同情する意見の3つに分かれていました。基本的に、利用してほしくないという会社が多いので、誰かが退職代行サービスを利用すると、他の社員も同じように利用するのではないかという懸念があるようです。対応に追われるとともに、またすぐに別の社員が利用したら困ると、焦りのようなものを感じているとの声がありました。もともと、退職代行を利用する場合は職場に大きな原因があることが多く、それは同僚の方々も同じ立場でよく知っていますし、会社側はサービスの利用を心配する前に、速やかに職場環境を改善するべきとのごもっともな意見が出てきそうですが、特に初めての利用者が出た場合、他の社員が賛同してやり方を真似始めたら、今後どんどん増えていってしまうのではないかと不安なようです。自分は利用しないと答えた同僚の方々の中にも、しっかりと引継ぎを残していたり荷物を整理しておけば、誰の口から退職の意志を伝えても問題が無いのではないかと言う声が多く、若い世代では肯定派が多数を占めていました。こうなると労働者の間で退職代行が更に広まることと、会社側の職場環境の改善と、どちらが先になるのか気になるところでもありますね。
代行会社とのやり取りに混乱した。
初めて退職代行を利用された会社は、どうのように対応したら良いのか分からず、混乱することがあると言います。顧問弁護士がついている場合には相談することが出来ますが、中小企業や個人でやっている会社では不適切な対応によって更に問題を悪化させてしまったとの声がありました。「退職代行を使われるなんて余程悪い会社だろう。自分のところはみんな仲良くやっているし、利用されることは無い。」と完全に勘違いしている会社は、いざ業者から電話が来てパニックになったようです。パワハラが横行している会社ほど罪の意識が低かったり、我慢しているだけなのに皆が受け入れていると思っていたりするものです。会社側の失敗談として、やってしまった不適切な対応としては❝本人からの申し出でないのなら受け入れられないと拒否をした❞、❝引継ぎをしたら辞めていいと言った❞、❝有給休暇の消化を認めなかった❞の3点が多かったようです。しっかりと労働基準法を認知していない会社は、これらのことは会社側が当然求めて良いものだと思って行っているので、悪気もありません。今まで退職した人は同じ条件を受け入れてきたのだから、これで良いと思ってしまっているのです。しかし、退職代行という第三者が現れたことで、それが通用しないことが分かり、初めての対応に追われて苦労したとの声がありました。業者とのやり取りになると本人とは話が出来ないため、会話が食い違って業者にどこまで話したらよいのか分からなかったり、返却物一つにしても物を探して郵送したりと、慣れない作業が大変だったと話していました。特に弁護士による代行サービスは、弁護士という名前を聞いただけで“訴訟”を想定し、大事だとビックリしてしまうようです。これを機に、労働基準法を確認し直して就業規則を訂正したり、皆が働きやすいように職場の環境が改善されると一番良いですよね。
双方ともに事務的に終えられるので楽な面もあった。
本人VS企業という構図が出来てしまうと、お互いの意見が食い違った時に揉めてしまい、円滑に手続きを進めることが難しくなってしまうので、第三者である退職代行業者が間に入ってくれたことで、冷静に話し合いが出来てかえって良かったとの意見もあるようです。退職代行を使ってほしくないと言う会社が多い中で珍しい意見だと思いますが、労働者本人が精神疾患を患っている場合は話が出来なくなってしまうこともありますし、バックレた過去があったり欠勤が続いていたりする場合には、会社側も本人と連絡が取れなくてどうしたら良いのか困っていたという状況もあるようなので、代行業者相手の方がやりやすかったという事例がありました。感情を表に出さずに淡々と事務的に必要な手続きを進めていくことが出来るのは、双方にメリットがあるという事ですね。連絡方法が基本は電話か郵送ですが、形が残るようにメールか郵送でとお願いしたところ、お互いの会話の流れが残せたので、“言った・言わない”の水掛け論が起こるリスクを減らせたことも良いところだそうです。自分の発言にも気を付けることが出来るので、上げ足をとられてパワハラ等で訴えられることを未然に防ぐことも出来ますし、相手が弁護士の場合、法的な措置について反対に質問することも出来るので、弁護士の指摘によって自社の問題点が浮き彫りになり、次に同じような退職者を出さないよう対策を立てるきっかけにもなったという前向きな感想もありました。慣れている会社は、反論しても自分に利益が無いことやリスクを増やす危険性をよく分かっているので、何にも滞りなく、依頼者が拍子抜けするほどスピーディーに対応することもあるようです。
基本的には事前に直接退職を伝えてほしいと思った。
退職の意思は、まずは直属の上司へと伝えるのがマナーだと考えている方がまだまだ多いのも事実です。大企業ではなく、特に規模の小さい会社や役職によっては、直属の上司=“雇い主である社長”ということもあるでしょう。この場合は、社長に直接伝えて欲しいとの意見がありました。これまでの日本の社会人のあり方として、そういった流れが主流だったこともありますし、お世話になった上司へのお礼の気持ちや挨拶の意味も込めて、「お話したいことがあります。実は・・・」というような切り出し方が一般的でしたので、職場によほどの問題がない限りは、このような方法を選択した方が受け入れられやすいという雰囲気は根強いですね。上司の立場としては、「自分の管轄するチームへの影響を考えて段取りする」という仕事もあるので、即日退職ではなく、できれば早めに相談してもらえると助かるとの意見が多かったです。上司の仕事の都合を確認してからアポを取り、2人だけで話が出来るような会議室などを選ぶのがベストだそうです。2人で食事に行った際や、お酒の席で退職の話を切り出すのは避け、退職の話=“交渉”と捉えて冷静に話せる場を設けるのが好印象だそうです。このような意見が出るのは当然とも言えますが、あくまでも円満退職を目指したいと思う双方の意見が一致してのことで、その上司が原因で辞めるような場合は、致し方がないとの考えもしっかりと持っているようでした。退職代行サービスを利用する方の多くは、このような状況を作り出すことが困難、あるいは試みたけれどダメだったというケースがありますね。
退職代行の利用がどのように見られるのか、体裁が気になるところですが、昨今は労働環境について議論されることが多くなっていることもあり、劣悪な環境ならばサービスの利用を肯定するという意見が増えていますね。